西側入口の受難のファサードを解説していきます。

生誕のファサードと比べるとあっさりとしています。スペインの彫刻家が手がけたそうです。

曲線は無くてカクカクしてる。

向こうが賑やかならこっちは静か。

受難のファサードですから全体的に暗めで絶望が似合っています。

イエスさまが弟子の十二使徒と食事をしています。「最後の晩餐」です。イエスさまのお顔が陰って暗くなってるのが良いと思います。

裏切り者とされているユダがイエスさまにキスをして兵士たちに合図を送っています。キスをすることが捕らえる合図だったのです。

でも僕はユダを裏切り者とは思わないけど。裏切ったのは行動だけで、心は真っ直ぐな信仰心そのものだったでしょう。ユダの話は人間の弱さをとてもリアルに写していると思います。

この数字の列はトリックです。どこの四列を足しても33になります。イエスさまが亡くなられた歳です。

こうしてイエスさまが捕らえられた後、十二使徒のペテロが「イエスなんて人は知らない。」と3回否定します。だから後ろには3人の女性が立っています。

「鶏が鳴くまでにあなたは私のことを3度知らないと言う。」イエスさまの予言通りです。

ペテロだって大好きで尊敬してる人を否定したくなかったはずです。でも自分が捕まればイエスさまの教えを広める人が少なくなるし。

もしかしたら否定してでもイエスさまの代わりに多くの人を救いたかったのかも。

鞭打ちの刑を受けて、傷だらけになったイエスさまがイバラの冠を被らされて人前に出てる屈辱的な場面です。

ローマ総督ピラトが群衆の前で手を洗って見せています。イエスさまの無実を分かっているのに護身のために十字架刑を下しました。それでもピラトは「私はこの人の血について、責任が無い。」と責任を放棄し、身の潔白を証明しています。

分かりにくいですが、イエスさまが倒れていてそのそばに三人の女性がいます。

聖母マリア、クレオファスのマリア、マグダラのマリアが嘆き悲しんでいます。

右の男性はシモンという人です。十字架を担ぎ上げようとしています。

聖ヴェロニカは十字架を背負ってゴルゴダの丘へ歩くイエスさまに汗を拭くようにベールを差し出します。拭き終えたベールにはイエスさまの顔が浮かび上がっていました。

有名な兵士ロンギヌス。この槍を突いてイエスさまの生死を確かめました。磔になったイエスさまの脇腹を刺した。

イエスさまの衣服を賭けてサイコロを振っている兵士たち。

そしてイエスさまの死です。磔になり亡くなりました。聖母マリアとマグダラのマリアがヨハネに慰められています。足元のドクロは死を意味しています。

ヨセフとニコデモが布に包まれたイエスさまを埋葬しています。見てくださいマリアさまのお顔を。世界で一番不幸で幸福な母親だ。

多くの人を救って、感謝されて、でも無実の罪で捕まって、類を見ないほどの苦痛の中で息子が死んでいく。大衆に晒されながら。

とても辛いお顔をされている。生誕のファサードと受難のファサードを行ったり来たりしてたら泣けてきました。あっちではあんなに幸せそうで祝福された家族がこっちでは悲劇の一言。この温度差が心に来ます。

生誕のファサードは曲線があってまさに活き活きとしていました。喜びが伝わってきます。

生い茂る森の木々のようです。

受難のファサードはカクカクで曲線が無いことが優しさの無い世界を感じさせます。本当に静かな彫刻で荒野のように殺風景という感じです。無味無臭、無味乾燥。

あとは、地下礼拝堂が残っていますが帰国の準備をするので明日にしたいと思います。


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